紅葉、照ル 🍁
今朝、(スマホの気象情報をみて)パリはマイナス4度か、と思っていたら、夕方またみると、10度になっていた。
石の街の底冷えとすべてが澄んで見える夜の眺めを久しぶりに思い出した。
時差があるからマイナス4度だったのは、パリが真夜中だったからか。ともかく寒い日だったのだろう。パリの友人はインスタの投稿によると、どうも風邪をひいたようであるし(友よ、どうかお大事に……だ)。
シャネルについてすこし読んだだけで、ちょっと着てみようとおもって調べて値段が高いと驚いたなどと言ったのは、浅はかだったとわかった。
アニー・エルノーの小説『事件』を原作とした映画『あのこと』のことを振りかえっては、心の中で何か言おうとすると言葉がつっかえる、というのを繰りかえしていたけれど、やはり、映画『あのこと』の描き方は、好きにはなれない。そのせいでどうも気は進まないけれど、原作を読んでいないので、読むことにした。以前から部屋にはあるのだった。
大学の同僚たちは、みなおそろしくスマートだ。
いつも何かとごちゃごちゃしていたり、また気さくすぎるかもしれない自分が、ひょっとしたらうっとうしかったり、ひどく浮いているのではないかと、さいきんふいに気が弱ることがある。でも、あまり気にしても仕方ないので、気にしないことにして、年を越そうと思う。そうだ、とにかく、あまり気にしないぞ。
ジャン・ルノワールの遺作『ジャン・ルノワールの小劇場』のなかの一篇目の映画『最後のクリスマス』を授業の終わりに学生とみたのだけれど、意味がわからないという意見もやっぱりあった。とにかく、紹介する時間がとれてよかった。私自身はとても大切に思っている映画だし、なかなか見られない貴重な映画を見てもらえてうれしい。ピエール゠オーギュスト・ルノワールのことも、知っていますかと問うと、ほとんどの学生が大きく首をよこにふった(はっきり頷いた人はいなかった)。ジャン・ルノワールが敬愛するアンデルセンのことも、知らない学生がいるのだろう。だけど、シャネルと同様、ルノワール親子のことも、アンデルセンのことも、私はじゃあ、知っていると言えるだろうか。たとえ限られた時間での短い簡単な言葉であっても、今自分が語れる程度の内容では、自分自身がつまらない。いずれまとまった時間をとってもうすこし彼らにかんする本などももっと読んでみたい。
午後、紅葉がまぶしく光るのをみた。
冬ではない。
秋が深まっているのだ。